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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第15章 6月9日〈2回目の誕生日特別編〉

深雪の言葉に首を傾げた翼。

だがすぐに、その言葉を痛感する。


「で、ここに…そう、その公式がはまると……蘭ちゃん?」

深雪の手元を覗き込んでいた翼。

その視線が、全く動かない蘭の手元を見て止まる。


「に、日本語ですか?」

「ん?」

首を傾げる翼。

だが、蘭には翼と深雪の会話が日本語に聞こえない。

数学の公式…日本語ばかりではないけれど…

会話の中にそれが入ると、

「そ、それは日本語ですか⁉︎ 」

途端に蘭の耳が頭が拒否の意を示す。


「蘭!真面目に…」

声を荒げ掛けた深雪を遮って、

「うん。じゃあもう一回説明するね」

翼は優しい笑みを見せる。



「ここまではわかった?」

「さっぱりわかりません!日本語でお願いします」

「……うん。じゃあもう一回」

だが、

蘭の頭どころか耳が受け付けないそれら。

根気よく何度も同じ説明を繰り返す翼。


「それは、何かの呪文ですか⁉︎ 」

「……数学が解ける呪文だよ」

「おお!ぜひ教えて下さい!」

「……さっきから教えてるけどね」

ため息を吐き出した翼の横から、

「蘭!女の子には優しい翼が毒舌になりつつあるよ!マジメにやれ!」

深雪が大きな声を出すが、

「大マジメです!」

蘭の瞳は至って真剣だ。


「……じゃあもう一回説明するね」

苦笑いの翼がまた同じ説明を繰り返す。

「……それは……日本語ですか?」

「日本語です」

何度も何度も、同じやり取りが続いた。


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