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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第15章 6月9日〈2回目の誕生日特別編〉

気分転換に他の教科をやれば、蘭はスラスラと解いていく。

それなのに、いざ数学を始めると…

「あーたーまーがーはーぜーるー」

集中力が1分とない。


「もーいいよー。留年でいい。勉強したくない」

土曜を超えて日曜日。

2日掛かりの勉強会。

数学だけ、なかなか先に進まない。


「ご、ごめんねー…あの、良かったらどうぞ」

蘭の数学の出来の余りの酷さに、蘭の母親は差し入れに忙しい。

料理上手な蘭の母親。

翼は笑顔で御礼を言って差し入れに手を出しては、美味しい美味しいと褒めてくれる。

イケメンの笑顔に癒されるマダム2人と違い、

「蘭〜、深雪はもうお手上げ」

深雪はサジならぬペンを投げた。


「でもほら、1ページも進んだ」

それでも笑顔で付き合ってくれる翼にかなりの無理を言って、月曜と火曜の放課後も勉強会をお願いする。


そんな月曜の夕飯、久遠家では…

「男⁉︎ 」

蘭の父親と、ちゃっかり夕飯にお邪魔していたむぅの声がハモる。


「そうなの!優しくて頭が良くて、身体もガッチリしていてね」

蘭の母親の言葉に、

「肉体美なら俺も負けてないぞ」

肉体労働な蘭の父親が腕捲りして力こぶを作ってみせる。

それをチラッと見ることもなく、

「しかも絶品のイケメン♡」

蘭の母親はハート目でうっとりとしている。


俺よりも?と聞けば腹を殴られるから…蘭の父親は、

「ふーん。むぅよりも?」

敢えてむぅの名前を出して、不機嫌に聞いた。


「むぅより…うーん……いい勝負……いやいや、蘭の中ではむぅくんがダントツよね?」

「え⁉︎ 」

突然振られた会話に、爆ぜそうな頭を抱え、ブツブツと ”数学が解ける呪文” を唱えていた蘭は、

むぅの顔を覗き見て、そして顔を真っ赤に染め上げた。



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