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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第15章 6月9日〈2回目の誕生日特別編〉

今日は火曜日。

(今日はむぅの……)

蘭が時計を見れば、もうじき夕飯という時間だ。

蘭の母親が夕飯のおかずの足しにと、かなり豪勢な料理を差し入れてくれた。

その為に空いていた深雪の家のキッチン。


「甘い匂い、漂ってきたね」

「はい!」

声を掛けてくれた翼と共にオーブンを覗き込めば、その中のクッキーがこんがりと焼き色を付け始めていた。


「彼氏にプレゼント?」

「はい!今日誕生日なんです!あ、翼くんの分もあるので、御礼にもらって下さいね」

「ありがとう」

笑顔で話す翼と蘭に、むぅの母親がヤキモキする。

「蘭の浮気者〜。むぅに言い付けちゃうから」

むぅの母親の言葉に、深雪の母親が戯けて イケメン独り占め禁止〜 と囃し立てる。


「彼氏、”むぅくん” て言うの?なんか、俺と名前似てるね」

「え⁉︎ 」

”翼” と ”叶夢” のどこが似てるんだろ⁉︎

首を傾げる蘭を、翼はクスクスと笑いながら見ている。


オーブンから出したばかりのクッキーを、母親3人は焼芋のようにハフハフしながら摘む。

その横で、チョコペンを湯煎に掛けながら、蘭はうちわで必死にクッキーを冷ましていた。


(今から…なんとか……間に合わせる!)

必死な顔の蘭に、

「……なんか、妬ける」

蘭と彼女が重なるのか、翼が呟く。


「やめなよ!蘭は一つの事で頭がいっぱいになるタイプだからね。余計なことするとホントに頭が爆ぜるよ」

深雪が止めるのも聞かず、翼の口元が意地悪く持ち上げられた。


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