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上出は、小学生の頃から自分を慕ってくるこの後輩を特別に可愛いがった。

世間は 遥暉の可憐な容姿に心酔しがちだが、上出はその気質が気に入っていた。

育ちのせいか、浮世離れしていてかなり世間知らずだが、素直で打たれ強い。


時として 頑ななほど･･････

一途で大胆。



遥暉自身は、貪欲になることを『カッコ悪い』と言ったが、物分りが良い奥ゆかしい後輩より、子どものように無邪気な危なっかしい彼のほうが、ずっと強く上出を惹き付け昂ぶらせた。



周りから人望厚く神童と評判の上出だったが、誰よりも遥暉に目標にされていることが、中学時代の上出の誇りだった。



1年間、この可愛い後輩の姿が無いことの空虚感は何をしても埋められなかった。




背後から遥暉の穏やかな寝息が聞こえはじめる。

振り向くと、あどけない寝顔が上出の心を安堵と充実感で満たした。



－－また、追いかけて来いよ。