
冴えかえりつつ 恋
第5章 春休み
「悲惨…?」
遥暉が首を傾げる。
「文化祭恒例の生徒会演劇に毎年駆り出されて、女装させられた。」
「毎年…、女装…?」
「しかも文化祭後暫くは、役の名前で呼ばれるし…。
中学3年の文化祭あとはストーカー紛いのこともされた。」
「そこまで…。」
信じられないといった表情だ。
「同級生が助けてくれて、今は穏便に学生生活が送れているよ。」
遥暉がジッと泰弘の顔を見つめる。
「どういう方ですか?」
「ん〜、背が高くてイケメンでスポーツマンで頭も良くて……」
「褒めまくりですね。その方のことが好きなんですね。」
「すっ、好きってーー⁈」
遥暉の何気ない言葉に一瞬うろたえたが、そういう意味と捉える自分がおかしいと自分を諭す。
ニコニコ顏で泰弘をみつめる遥暉。
「コホッ、ただし性格に…問題有り。」
泰弘はわざとらしく咳払いして続けた。
「だから、時々衝突するかな。でも、僕と正反対だから上手くいっているんだ……と、僕は思って……」
「……。」
遥暉が柔らかく微笑んで泰弘をみていた。
泰弘は急に気恥ずかしくなって話を切りあげた。
「あ、あのさ、僕の話はおいといて…。」
「ええぇ、聞かせてください。高校生活とか友達付き合いとか。」
なんだか、妹と話しているみたいだと泰弘は思った。
「丸山君には、上出君て親友がいるだろう。」
「上出先輩は……憧れ……で、目標で…。
隣に立てる…といいなぁって…思います。」
遥暉が少し視線を落とした。
遥暉は自分の話になると、口が重くなった。
