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冴えかえりつつ 恋

第7章 電車通学

丸山邸の塀の中から大きな桜の木の枝が、長身の上出の頭上すぐに伸びている。

上出は丸山邸の裏門から出てすぐにあるマンションの4階に住んでいて、今日から遥暉と登校するため、マンションの下で待ち合わせていた。

約束の時間通りに遥暉がやってきた。

玄関を送り出され、馬鹿でかい建物をぐるりと廻り込んで裏門に出る遥暉は、上出よりよほど時間が掛かるのではないかと思われた。




「おはようございます。
お待たせしてすみませんでした」

遥暉があいさつすると、上出は少し目を細めて

「ハヨ」

と短く返した。




今から駅まで10分の道のりを歩く。


「よろしくお願いします」


遥暉がぺこりと頭を下げる。





上出は、

「行こうか」

とだけこたえ、前を向いて歩き始めた。



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