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冴えかえりつつ 恋

第2章 幼い選択

中学にあがると、上出が水泳部に所属していると知って、遥暉は迷わず水泳部のドアを叩いた。

上出がトップを目指すのであれば、遥暉も上を目指した。

県大会の表彰台は当たり前という上出のレベルに追いつくのは、元来運動が得意ではない遥暉にとって並大抵の努力ではなかった。

それでも上出の居る世界に近づく事ができるなら、上出の傍にいられるなら、遥暉は悦んで自分をおいこんだ。

部員たちの中心でストレッチをする姿に見惚れ、練習メニューを読み上げる張りのある上出の声に聴き惚れて、内容をウッカリ聞き逃すこともあった。


『この想いは・・・・・・、
 きっと憧れを越えている 』



そんな自分の感情に気づき始めた頃、上出は引退し、部活にも気晴らしに通っていた市営プールにも顔を出さなくなった。


--高校受験が終わったら、
  また一緒に泳ごうな。


上出と最後に泳いだ日、そう約束した。


しかし、遥暉は2年生が終わるころ、部活中の事故で水泳を辞めざるをえなかった。



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