さよなら、またね。
第4章 ひとりのふたり
裸で泣く女をあやす、裸の男。
想像したらちょっと、可笑しくなって「ふふっ」って笑うと、蒼士も同じことを思ったのか、おんなじように笑った。
「今は忘れよう。澪はたまたま入ったBARで悪い男に捕まった。俺は、いつものBARで、すげぇイイ女と出会った。ふたりは酔って、流れるままに初めての快感を手に入れる・・・。で、どう?」
「ふふっ、なにそれ?じゃぁ、ふたりのその後は?」
「その後はわからないな。たまたま出会ったふたりが、たまたま再会したら考えよう。」
「いいね、偶然。また裸で抱き合うかもしれないし、ただの飲み友達になるかもしれない。でもきっと、今日あなたとこうして体温を分け合ってるのは、私の意思だから・・・今夜だけ、【愛しいもの】みたいに扱ってほしい・・・」
見つめあって真面目に愛を乞う私はめんどくさいと思うけど、それでも彼は、私のわがままに応えてくれる気がした。
「澪・・・」
優しく微笑った彼は、私の唇に柔らかくキスをした。