
失恋少女のアバンチュール
第3章 初めてのグアム
予定通り福引した日から2週間後に私は羽田空港に来ていた。
行程表を見ながら大きなスーツケースを転がしながら旅行会社のカウンターを見つける。
「あの、予約していた赤嶺です。」
「赤嶺様ですね、お待ちしておりました。グアム行きの便で出発時刻が…────」
旅行会社の人の説明を一通り聞いてから荷物を預けると早速出国手続きをした。
初めての海外一人旅。
渉との事以来落ち込んでいたけど、少しだけワクワクした気持ちになれた。
搭乗時刻までに、いくつかお菓子と飲み物を買っておいた。
飛行機に乗ると窓際の席で晴れているから周りの景色がよく見ることが出来る。
「隣すみません。」
窓からの景色を見ていると、隣の席に人が来たようだ。顔までは見てないけど、若いスリムな男性みたい。
スーツを着てるってことは社会人かな?
大人の男性かぁ…確かに年上って頼れるから良いよね。
飛行機が離陸して暫くは外を見てたんだけど、気づかない内に眠ってしまっていた。
起きた私の膝には、貰った記憶のないブランケットが掛かっている。
もしかして──
隣の人に目を向けた。
「あの、このブランケットって…?」
「ブランケット?あぁ、意外と機内が寒かったから勝手に掛けさせてもらった。」
私の方に向けられた視線に顔をあげると、隣の男性の格好良さに目を奪われてしまった。
爽やか系なイケメンのお兄さんで、思わず見とれてしまう。
「ありがとう、ございます…暖かかったです。」
