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失恋少女のアバンチュール

第3章 初めてのグアム


「どういたしまして。せっかくのグアム滞在なのに風邪なんて辛いだろうから。」


その人は優しそうな笑顔を向けてくれた。
きっとこういう人はモテるんだろうな。


私は、彼の笑顔につられるように自然と口元に笑みが浮かんだ気がする。久しぶりに笑ったかも。
ひきつったりしてなかったかな?



会話が見つからなくなってしまい、徐にバッグからガイドブックを開いてみる。
海外慣れしてそうなこの人におすすめスポット聞けば教えてくれるかも!

「あの、グアムについて詳しいですか?もしおすすめとかあれば教えて貰えないですか?」



「もしかして一人旅行なの?」

「はい、商店街の福引で当てたんです。」

「へぇ、スゴいね!あ、買い物ならこの辺りがおすすめかな。でも、夜はあまり出歩かない方が良いよ?
もし、また出会う機会があれば俺を頼ってね。」


彼は胸ポケットからペンを取り出すと丁寧に地図に丸を付けてくれた。
他にも遊べる場所とかを教えて貰ったので、後で回ってみたいな。



彼とお話ししているとあっという間にグアムの空港に着いてしまった。
もう少し話していたかったなぁ。


「色々ありがとうございました!」

「じゃあね、良い旅を。」


彼は、ターンテーブルから流れてきたスーツケースを受け取り颯爽と人混みの中に消えていった。


「あ!あの人の名前聞くの忘れちゃった…。」



"頼ってね"って言ってくれたけど、名前も連絡先も聞くのを忘れちゃった。
また会えるのを期待するしかないかなぁ…。



この時、私の中で何かが変わり始めようとしている気がした─────



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