
失恋少女のアバンチュール
第4章 海のハプニング!
私を助けてくれた力強い腕は、男の手を払いのけて追い払って守ってくれた。
恐怖が拭い去れずに次々と溢れてくる涙を指先で拭ってくれる。
「大丈夫?怖かったね。遅くて探しに来て良かったよ…。」
樹さんは私を優しく宥めるように抱き締めてくれた。彼の腕の中にいると、恐怖感が徐々に抜けてきてくれる。
ホッとできているからかもしれない。
「千晴ちゃんって意外に方向音痴?真逆に行っちゃうんだから。」
「うぅ…返す言葉もありません。」
泣いてしまい目が赤くなってしまった私を見て、樹さんは、そういうのも可愛いと撫でてくれた。
さりげない彼のスキンシップが、私の心臓をドキドキさせる。
あの出来事以来、どんな人相手にもドキドキしたりしなかった。なのに、樹さんだけは何か違う…
まだ、この気持ちが何か気付くことに恐れてしまう私がいた。
「それにしても…千晴ちゃんの水着セクシーだね。何か誘ってる?」
「っ…!さ、誘ってないですよっ!」
「えー、残念。俺は白い水着好きだよ。可愛さの中のエロさが堪んないね。」
ふざけてるのか、場を和ませようとしてくれてるのか分からないけれど彼の言葉に、再び自然と笑みが出てきていた。
