
失恋少女のアバンチュール
第4章 海のハプニング!
早朝と違ってこの時間になると海水浴客がかなり増えていた。
私たちは海の上に借りてきたパラソルを立てる。樹さんの手際の良さをみると、こういう事も経験あるんだろうなぁと改めて感じてしまう。
「場所とりも終わったし、着替えて早速涼もうか。」
「そうですね、じゃあ…すぐに着替えて此処に戻りますね。」
近くの更衣室へ向かい着替えるが、いきなりビキニ姿では恥ずかしかったのでパーカーを羽織って戻ろうとした。
「えーと、樹さん何処だろ?」
来た道を戻れば2、3分で戻れるはず。
…なのにいくら歩いても樹さんの姿が見つからない。
もしかしなくても、これは迷ったみたい…
「どうしよう…?樹さんの名刺は部屋だし…」
「コンニチハ!キミ、ヒトリ?」
一人の男性に片言の日本語で声を掛けられた。
愛想笑いを浮かべながらそれに対して答えようと思った途端、その人に腕を掴まれて何か早口の英語を話しながら歩き出してしまう。
「ちょっ…ヤダ、離してっ…!」
必死に抵抗はするけれど、男の人に勝てるような力は無く…
ずるずると引っ張られていると、急に逆の方へ傾いた。
肩を抱かれて誰かと顔をあげた時に恐怖という感情がなくなり、涙腺が緩くなってしまった。
