
失恋少女のアバンチュール
第2章 プロローグ2
商店街は変わらず賑やかだった。買うものを手早く選びレジに並んでいると一枚のチラシが目に留まった。
【☆☆商店街 福引抽選会】
1等は…グアム旅行
グアムかぁ…行ってみたい気はするけど、今はとてもじゃないけど行く気はなれない。
「お買い上げありがとーございます!3,000円のお買い物なので福引抽選券を1枚どうぞー。」
レジの子から福引券を受け取ると、抽選会場に向かっていた。
何故か、何か当てて少し気分をあげてみたいと思った。
会場のおじさんに福引券を1枚差し出して抽選箱を回す取っ手を握った。
「一回どうぞ。頑張ってね、まだ1等は出てないからさ。」
2等の美顔器が当たれば良いかなと思いながらゆっくり回していく。
箱の中がガラガラと音が鳴っているのが聞こえる。
コロンと玉がお皿に落ちた。
2等の黄色ではない。
末等の白でもない。
出た玉の色は金色。
「おぉぉっ!出ました!おめでとう、1等のグアム旅行だ!」
おじさんから手渡された封筒には[1等 グアム旅行]と確かに書いてあった。
「ペアで!って言いたいんだけど、予算の都合で一人だけなんだ。すまないね。
恋人には実費でお願いして一緒に行ってきなさいよ。」
笑顔でいうおじさん。
一人分か。
私みたいなのが旅行するのを傷心旅行っていうんだっけ…。どうせなら行ってこようかな。
家に帰って母に相談してみたら、心配だけどせっかくなら行ってゆっくりしておいでと言って貰えた。
旅行会社に連絡したら2週間後の出発で、5泊6日の日程らしい。ずいぶん奮発してくれた商店街に感謝したいな。
荷物を作って久しぶりに楽しみな事が出来た。
これから、傷心一人旅が始まるんだ…──────
