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愛され方の方程式

第3章 早すぎた夏

教室に戻った俺は教師に適当な言い訳を言い、席に着いた。

「(メ・ん・)?どーしたの?先生の手伝いじゃなかったの?」

 この間の席替えで後ろに来た海山が聞いてくる。

「…なんもねえよ。頭痛ぇんだから話しかけるな。」

 いつもより増した俺の怒りのオーラに気付いたらしく、海山はそれ以降授業中は黙っていた。


 ――何が愛だ。くだらねぇ。

  この世にそんなものがあるかよ

 愛なんて言い換えりゃ欲望のカタマ

リだ。

綺麗な言葉で、包み込んでるだけだ。 
   愛なんてのは残酷な代物だ

 それのせいで、俺は―――

「おい、大丈夫か。」

 急に目の前に現れた先生に驚いた。

「どうした、ボーッとして。具合でも悪いんか?」

「い、いえ。大丈夫です。…すみません。」

「いや、大丈夫ならいいんだ。」

 これも、所詮は心配するフリなんだろ?だったらもうほっといてくれよ。

 その授業から俺は、誰も近づかせないまま放課後を迎えた。

――― 「疑心暗鬼」のまま

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