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愛され方の方程式

第1章   春の陽気

 4月、新入生が入学し俺らは最上級生となる。
 
 部活動生は部員勧誘と高校総体に向けての練習に励んでいる。

 部活に入っていない生徒は、放課後教室で勉強をするか、早めに帰りバイトをするか。ただ自分の時間を自分のために使っている。

     俺は、両者でもない。

いや、どちらかというと後者であろう。

 ただ、自分が何をしているのか分からないまま、一日を終える。
 
 1年の時も、2年の時も、気付けば春の陽気にあたり、夏の暑さを感じ、秋の風の冷たさに身を丸くし、冬の寒さに凍え、一年間を終えていた。

 お前は何をしていたんだ、って聞かれても仕方ないだろう。

 だが、そんなことを聞いてくる人間なんていないだろう。

 なんせ、俺は俗にいう
   「「ボッチ」」
          だからな。

 別に話すことが苦手なわけじゃない。ただ周りのやつにどう接したらいいか分からないだけ。

それに...話す必要もないしな。
      
 始業式の後、新しいクラスでは担任が話をしている。プリントに書いてあることをだ。

(無駄...だよなぁ...、この話)

 去年も同じ担任であったが、本当に無駄が多い。授業の進め方や職員としての仕事、その他諸々。

(早く終わらねえかな。)
  
 そう考えていると、担任の話が終わったらしく、次の話題を切り出した。

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