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愛され方の方程式

第2章  暑すぎた卯月

 なんなんだ、こいつ。

 相変わらずの満面の笑みの中に少しだけ歪んだ笑顔が見えた。

「ん?どうしたの?」

「い、いや...なんでもない...」

「んー?まあどうでもいいや!それよりさー、教えてよーなーまーえー。」

 無邪気な子供のような言い方に俺は落ち着きを少しとり戻し、そして再びイラッっときた。

「...はぁ。なんでそんなに俺の名前を知りたがる。関わりなんてほとんどないんだからどうだっていいだろ?」

「えー、だって同じクラスの人の名前くらい知っときたいじゃん。」

 だったらクラス名簿でも見ればいいだろ...。

「そ・れ・に。君本人から名前を聞けたとなると、僕はそうとうすごい人って見てもらえるからね。」

 自慢げに言う海山。そして、察する俺。

「つまり、お前は人気になるために俺を使おうとしている、と」

 俺の怒りに気づいたらしく、海山は必死にそんなつもりはないと訴えていた。

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