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愛され方の方程式

第2章  暑すぎた卯月

 必死に訴えている海山を見ていると
なんだかもうどうでもよくなってきた。

「はぁ...分かったよ。教えてやるから、ちょっと耳貸せ。」

 そう言って俺は海山に顔を近づけた。

「え、な、なになに?そんな近づかれたら俺照れちゃうんだけd―――」

「X野 アラX」

 俺は自分の名前を教え、元の位置に戻った。

「ふ、普通にそこから言ってくれればいいじゃんかよ!くすぐったいだろ!」

 海山は少し顔を赤くしている。

「...俺の名前、言ってみ?」

「はあ?お前の名前?そんなんさっき聞いたばかりだr」

「いいから、言ってみ。」

「えと、......あれ?名前...。」

 俺は軽いため息をつき、片づけをしてその場を立ち去ろうとした。

「お、おい!ちょっと待ってくれよ!」

「これ以上のお喋りは何の意味のない。それに分かったろ?
 『どうせ覚えられない』から。」

 いい覚えのある台詞を海山に放ち、俺は教室へ戻った。

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