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恋してキスして抱きしめて

第8章 だから、俺も予想外なんだって

………あの日。


父親が最寄駅まで迎えにくるから大丈夫、という言葉を信じて


家まで送る事なく、俺と千夏は途中の駅で別れた。


桟橋を下りて電車に乗っている間も、千夏は顔を真っ赤にしたまま放心状態で


今回のデートごっこの感想も聞けず、今後の予定も立てられず


……特に連絡も取らないまま、今日に至る。



「しくじったわ~~」



駅前の喫煙コーナーへ進み、花壇の淵に腰を下ろす。


……振出しに戻るどころか、初っ端から迷路に突っ込んじまった。


って俺が暴走したから悪いんだけどさ~~


“ 脳がやられました ” “ 何も考えられません ” って……リアルな馬鹿じゃねーか!




この1週間、内線が鳴る度にビクビクしていた俺。


もしちーちゃんが、今日チューされたよって常務にゲロってたらどうしよう~~!!って、仕事中も気が気じゃなかったけど


会社も、恋愛教育係も


今のところクビ宣告は受けていない。

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