テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第8章 だから、俺も予想外なんだって

「…………」



………あれは完全に衝動だ。


純粋なまでに慕ってくるもんだから、ほだされたんだよ。


だけど………



………ヤバかった。本気で。



普段では考えられないけど


我を忘れて、千夏とのキスに夢中になった俺がいたんだ。


長い間錆びていたであろう何かが、再び動き出したような感覚。


手を出したら最悪失業に繋がることもあるって、分かっていながら


自分を止めることができなかった。



「…………」



煙草を咥えたまま、携帯を取り出す。


着信とメールが数件あるその中に、千夏の名前は無い。




………キスした自分が動揺するなんてアホらしいし


ここで終わりにするわけにはいかねぇ。


俺から連絡する理由はなんとでも言える。




………だけど、本音は




「……声が、聞きてぇ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ