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恋してキスして抱きしめて

第2章 待て、なぜ俺に頼む?

「じゃあな、ユーリ。
久しぶりに会えて楽しかった」



店を出て大通りを歩く。


地下鉄とJRの分かれ道に差し掛かったところで、夏輝が振り返った。



「他の奴らだって夏輝に会いてーだろうし。
また日本に戻る時があれば、連絡しろよ」

「あぁ、気が向いたらな。
その時はお前のチャラさが更生されてるといいんだが」

「ははっ、どうだかねぇ」

「ユーリ」



地下鉄の階段を降りようとすると、後ろから夏輝に呼ばれる。




「……高校の時に逆戻りじゃねーか」

「…………」

「来る者拒まずだったお前が、大学の時はあれだけ……」

「……変わるんだよ」




夏輝の名前にも入っている、あの頃の季節が脳裏に浮かぶ。


だけど、すぐに掻き消した。




「夏輝みたいに変わらない奴もいれば、変わっちまう奴もいる」

「……ユーリ……」




その切ない顔に向けて、俺はふっと笑った。




俺はただ、元に戻っただけだ。


身の丈に合った生き方をしている俺には


………自分探しの旅なんて、必要無い。

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