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恋してキスして抱きしめて

第2章 待て、なぜ俺に頼む?

「……ユーリ、女関係では相変わらずフラフラしてんのか?」



妹の話が終わって1時間、飲んでいる間もひっきりなしに俺の携帯が鳴るもんだから


夏輝はげんなりした顔をして、テーブルの上に置かれた伝票を取る。



「まぁ、適当だよ」

「恋人は?」

「いるようないないような」

「お前なぁ……」

「ちゃんと一線は守ってるよ」

「一線?」

「人のもんには手を出してねぇ」



カバンから財布を取り出そうとした俺を止めて、夏輝はポケットから生の札束を出す。


ドルとかユーロとか、分厚い紙幣の中から、見慣れた1万円札を抜いた。


旅人って聞こえはいいが、要するに無職だろ?


その何十万って金はどこで調達してんだよ。


俺の疑問が分かってんだか分かってねーのか


2人分の会計を済ませた夏輝は、俺をみてニッと笑った。

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