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恋してキスして抱きしめて

第14章 友人の言葉

……何度も手を振って、最後に振り返った時


ユーリさんが帰っていく姿を見たら、堪らなく寂しくなって


すぐに連絡するって言ってくれたのに、どうしてももう一度だけその笑顔を見たかった。


だけど


カフェまでの緩やかな坂道を登ろうとした、その先にいたユーリさんの表情は


別人だと思ってしまうくらい怖くて……


足が動かなくなるほど、冷たかった。




そして


ユーリさんが手を握っていたのは………



「……相思相愛の、彼女さん」

「彼女?」

「……ユーリさんの、大学時代の恋人の……
……朱莉さん……」



………自分でも不思議なくらい


一目見ただけで、その人だって分かってしまった。


お兄ちゃんから何度も話を聞いていたから、彼女さんの特徴も名前も知っていたんだけど……



ユーリさんと初めて出逢った日も、花火を見た日も


彼女という存在がどうなったのか、確かに気になっていたはずなのに


ユーリさんと近くなれたのが嬉しくて、すっかり忘れてしまってたんだ……

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