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恋してキスして抱きしめて

第15章 あたしだけを、見て

その笑顔まで見えてきそうな、優しい声で陽菜は続けた。



『だから、嬉しくて気分が上がっちゃったんだと思います。

何を着てこう、何を話そうって、もうこっちまで楽しくなっちゃうくらい』


「…………」


『こんな幸せそうな千夏を見るのは初めてで

ユーリさんにお礼をお伝えしたいくらい、私もすっごく嬉しいんです♡』




……携帯を握る手に力がこもる。


陽菜の声の後ろから、千夏が奏でる音色が聞こえてきて


熱い何かが、胸の奥からこみ上げてきた。




『私、千夏のパパとも仲良しで♡

今夜もうちに泊めますって言って、ちゃんと了承得ておきました♪』


「………!」


『でもね、ユーリさん。

残念ながら私の部屋は、ワンルームでと~っても狭くて。

部活の子達も来るので、今夜は定員オーバーなんです』




前乗りさせてあげてくださいと、笑う陽菜。


………嫌味の無い、この機転の良さ


当時、水泳部のエースで、向かうところ敵なしのイケメンの


ヒメと同じ名を持つその男と、何か共通したものを感じてしまう。

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