テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第2章 待て、なぜ俺に頼む?

………………………………………………


4年間過ごした大学は、同じく都内にあって


会社から20分程電車に乗って、かなり久しぶりにその最寄り駅で降りる。


学生たちで賑わう大通りを抜け、細い路地に入ると


毎週のように集まっていた、大衆居酒屋の明かりが見えてきた。



「いたいた。
つーか全然変わってねぇな~」



満員に近い客で賑わう1番奥の席に、既にビールを飲んでいる夏輝の姿を見つける。


あいつ、また一段と黒くなってんな。


真っ赤なTシャツと短パンの間から伸びた手足は、こんがりと日焼けしている。



「卒業式で一度そのツラ見せた時は、半モヒじゃなかったか?」



当時は俺と同じ茶色だったその髪はバッサリ無くなり、ラインを入れたボウズ頭。


話しかけながら向かいのパイプ椅子に座ると、夏輝はニッと笑った。



「久しぶり、ユーリ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ