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君模様

第4章 君過去

その日は、もう夏の面影なんてなくって
冷たい風は、頬をつつくように痛くて…


全てを凍らせる季節の予感のする日だった。



それは、壮太と帰ってたときのこと。
もう、付き合いはじめて3ヶ月。
手を繋ぐことは当たり前で。
いつものように、手を繋いで帰ってた。


駅の前を通ってるとき、ちょうど電車がついたばかりらしく…人がたくさんいた。
あたしと、壮太はそのなかの一人と目があった。
特に、見ていたわけではなく…偶然。
その少女は、あたしたちと同じぐらいで、すごくきれいだった。


それからだった、
壮太の態度がおかしくなった。
駅前のビルで買い物がしたかったのに
「早く帰ろう」
なんて。
君らしくないよ。

…でも、あんなことになるから早く帰っておけばよかった。


それから、その少女と何回もあった。
ビル内のエスカレーターとか、ショップのなかとか。
狭い町だし、そんなに気にしなかった。

ドンッ
と、誰かにぶつかった。

「ごめんなさいっ」
その、少女だった。

「あっ、いえ。あたしが、ぼーとしてたので」
と、謝ると。
「いえ、本当にごめんなさい。お怪我はありませんか??」

すごく、改まった言葉。
(どこかの、お嬢様かな??)
なんて、思わせるくらいに。


「……〇〇高校のかた??」
(ん??)
「そうですけど」


「あっ、すいません。変な質問をしてしまって」



「いえ、大丈夫です。」

「あっ、では失礼します」
と、さっさと帰ってしまった。


「どーしたんだよ」
と、レジに並んでた壮太が帰ってきた。
どーしても、タイミングよすぎ。
(もしかして、あの女の子。壮太の知り合い??)



なんて、考えたりもしたけど。
もし、そうなら壮太はあたしがいても、声をかけてるはず。
…やましいことがなければ…だけど


壮太に限ってそんなことはないだろう。


そんな風に安心してたのが悪かったの??

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