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鍵のない手錠

第3章 雨だから


梅雨に入り、毎日のように雨が降り続いていた。
みんな傘をさして急ぎ足で歩く

俺はいつもみたいに
広場にきて瑛を探した

携帯に連絡してもよかったんだけど
あんまり携帯をいじってるところを
見たことがなかったから
俺は己の乙女っぷりに苦笑しながら
待ち伏せしていた

他の男なら
他の女なら

体の関係からスタートしたっていい

誰かを手に入れるは
こんなに気持ちが臆病になるって
俺は初めて知った

また苦笑して、俺は持っていた珈琲を飲む
と後ろからいつもの声がした

「颯介、何やってんだ?」
「弘大。暇人め。お前待ってんじゃねーよ」
「は?俺ただ通っただけなんだけど。っーか、合コン!俺たち最近活動してねぇ。なんでだと思う?」

そんなことを言って、
俺の持っていた珈琲をとって
弘大がごくッと飲む

「知らねーよ。っーか、散れ、あっちいけ」
「な?そのせい。お前が瑛ちゃんに夢中のせい」

一瞬何を言ったかわからなくて
流そうとして
胸につっつかかる

俺が・・・瑛ちゃんに夢中・・・


「バレバレ。瑛ちゃんみる目、ハートだし。なに、もう抱いたわけ?あいつ色気むんむんだしなぁ?」
「てめぇ!それ以上言ったら殺すぞ。俺たちはそんなんじゃねーだろ!!バカ!とっとと女とこいけ」
「はぁ?なんかトバッチリ。颯介らしくねーよ、キレんな。飲みいこうぜ、な?」

イライラしてるのか
眉間にシワが言ってる颯介にむかって
そう言うと
咬み殺すぞ、あっちいけって威嚇される

「・・・怖いって。瑛ちゃんも来るんだけどなー」
「!!は?!なんで?!」
「瑛ちゃんに昨日夜たまたまあって、で誘ったらいいよって。でも、颯介来ねーんだろ?」
「行く。っーか、お前なに偶然に会ってんだよ!!」
「それもダメなわけ?お前すげー執着。俺に嫉妬すんな。男なんか興味ねえよ」

そこまで言うと、大袈裟に颯介がため息をはき
さっきまでまとっていた殺気が消えた

顔こえーって

そう言おうとして口を閉じる
颯介とは幼稚園のときから
一緒にいるけど

最近の颯介の瑛の追いかけっぷりは
感心するほどだった
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