とある隠れ女の奮闘記
第3章 飾らぬ美こそがふつくしい
朝食は焼きトマトとチーズのサンドイッチ、オニオンスープ、シーザーサラダ。
相変わらずおしゃれな朝食をささっと作るにーちゃんには感心だ。
「どうぞ」
「ありがと。いただきます」
「召し上がれ」
十時を下っているこの時間を果たして朝と言えるかどうかは置いといて。
「なぁ兄ちゃん。何で家にいるんだ?てゆーか何で真城さまと奏さまが家に居るんだ?!てゆーかこの可愛い少年は誰だ!!先生って何!!」
聞きたい事はわんさかある。
わんさかあるんだ。
困ったような表情をする、相変わらず綺麗で可愛い兄の姿に若干和みながらも、疑問は全てきちんとぶつける。
「ほら、やっぱり急におじゃまするのは悪かったよ。那希ちゃんを混乱させちゃったし……」
ごめんね、と斜め左でまゆをひそめて申し訳無さそうに謝る奏。
その甘さを含んだ柔らかな視線に、見事射てやられた那希は勢い余って中腰になっていたものを、再び落ち着かせる。
薔薇を散らせる彼らのオーラに頭をくらくらさせつつ、朝食をぱくつく。
「そうですね、さすがに説明不足過ぎました。……那希、びっくりさせちゃったね」
兄が本当に悪いと思った際、
瞳を細める癖は相も変わらず。