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晴れと雨

第3章 日

「渚、今度の休みにどこか行こうか」

漠然とだけど、あの日以来、貴史さんとの距離が縮まった気がする。
まず、会話が増えた。
日常会話程度だけど、かなりの進歩だと思う。
以前はそこすら怪しかった。
あとはこうして、遊びに誘ってくれる。

「いいんですか?行きます、行きます、喜んでっ」

正直、男二人で休日ウロウロするのは、視覚的にどうかと思うけど。
それでも行きたいと思ってしまうのは、貴史さんとだから。
人生楽しんでなさそうだから、楽しみを教えてあげたい。なんて、口が裂けても言えっこないけど。
最初は、映画みたり、ゲームセンター行ったり、ショッピングしたりって在り来たりだったことが、最近は釣りしたり、低い山登ってみたりと進化している。
元々ポーカーフェイスの貴史さんも楽しんでいるようには見えるし、自分も楽しいしで、一石二鳥って感じ。
自分に出来ることってこれくらいしかないし、楽しみや時間を共有してる事実が何よりも嬉しかった。
貴史さんとの奇妙な関係。
案外と悪くない。

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