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晴れと雨

第4章 苦

最近の渚を見ることは辛かった。
応援すると言ってしまった手前、渚の近況報告という名ののろけ話を聞かなくてはいけなかったから。
顔色を変えずに聞くことは、なんてことない。
ただ、そのあとの一人の時間がしんどかった。
昔の記憶がフラッシュバックする。
捨てられてしまう。本当に愛して欲しかった人たちから。
自分でも嫌になる。
あんなにどうでもいいと、居なくなっても構わないと思っていたのに、こんなにも爪痕を残されていたなんて。
離れたくない。そばにいるのは辛い。
解決なんてない。方法がわからない。
まるで、自分の精神年齢だけ過去に戻ってしまったようだ。

「…結構クるな」

自室で呟く言葉は空を舞った。
きっと時間の問題。限界は思ったよりも早足に近づいていたようだった。

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