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ひまわりのキミ。

第1章 ひまわりのキミ。1

「…夏子。もう終わったんだ?」

「て、てててっちゃん…!ごめん、忘れてたっ…」


うぅ…。

約束を忘れるとか、絶対幻滅されちゃうよ…。

だけどてっちゃんは、私の考えとは裏腹に、雨で暗い校舎の中では眩しいくらいの笑顔で笑った。


「お前らしーな」


そう言って頭を撫でられた。

――キュン

それだけのことに、心臓が暴れ馬のようになってしまった。

うわあぁぁ…。

てっちゃんに頭撫でられちゃったよ…。

キュンと胸が鳴ったのは、このせいだ。


「もう帰れる?」

「う、うん」

「なら、行こ」


私たちは靴を履き替えて、外に出た。

てっちゃんは、黒い大きな傘を開く。


「デカい傘で良かった。夏子濡れるからな」


…そういうさりげないとこ、好きだな。

横目でてっちゃんを見つつ、そんなことを思っていたら、突然、肩を優しく包まれた。

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