
甘く染めて
第10章 №9
女の子も急いで俺の後をついてきた。
『ガチャッ…』
『は、春夜…!!』
春夜はおでこから血が出ていて俺は心臓が飛び上がった。
立ち尽くしている俺の後ろから、女の子が『どいて!』と言いながら春夜の元に駆け寄った。
『くそ…帰れよブス…』
『帰れるわけないでしょ…?』
『…っ、泣くなよ』
女の子は春夜を抱きしめて声を押し殺しながら泣いた。
『(あ、これは出て行った方がいいかな…)』
そう思い、俺は部屋を出てリビングのソファーに転がった。
…多分、春夜は、女の子の気持ちを確かめたかったんだろう…
『痛い』って言われて出て行かれて、
春夜も心が痛かったのかな。
一人でボーーッと考えていると、女の子が部屋から出てきた。
