
甘く染めて
第10章 №9
『私帰りますね』
『…ごめんね、俺、何も出来なくって任せちゃって…』
女の子はふっと笑みを漏らした。
『いいんですよ。
やっぱり双子ですね、似てます』
『よく言われます』
『ほら、その言葉も』
クスクス笑いながら、女の子は言った。
『そ、んなに似てるかな?』
いや、顔は似てるけど、髪色とかしゃべり方は全く似てない。
『遥斗君と、春夜君は気づかないと思うけど、皆似てるって思ってますよ』
『じゃ、私行きますね』女の子はそう言い、一礼して出て行った。
バタン…
あの子、何て言う名前だっけ…
学校じゃあまり、見かけない顔だった。
違う学校、かな?
