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兎ノ夢

第5章 華

川の流れに身を任せている午前9時
空を仰ぐと、まるで自分が川と一体化しているよう
途中の橋の上から、女の子がこちらを見ている

はずかしいなあ
そんなに見なくたっていいじゃない

僕は恥ずかしさを感じた
恥ずかしがっていると、今度は隠れていた岩に頭をぶつける

痛い

反動で返ると、澄んだ水の中が見渡せる
きらきら
ゆらゆら

きれいだなあ

ちょっとアンニュイな気持ちに浸っていると、グイと腕を引っ張られた

わあ、なにするんだよ、乱暴だなあ

体を仰向けにさせられると、そこにはさっき見た女の子と大男という異色の組み合わせがいた

川の流れに身を任せていた午後5時
僕は彼らによってその行為を中断させられた
今見えるのは、青空でも澄んだきらきらでもない
ただの黒だった

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