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シュールな関係

第19章 落とし穴

あなた達はわたしと違って

華やかな世界にいる



こんなこともゲーム感覚で

日常茶判事なのかもしれない




でもわたしは違う。




わたしがここにいることに

違和感を感じずにはいられない。




「ごめんなさい 一之瀬さん


せっかくのドレス 

こんなに汚してしまって・・・



こんな姿で会長にも会えないし


帰えります…


本当に・・・ごめんなさい」




「奈緒 ちょっと来い」




一之瀬さんに握れる腕が凄く

痛い・・・



「何やってんだ!?」



大きなため息をついて

一之瀬さんがわたしの腕を

人通りのない廊下で…離す




手が痛みでジンジン…する



「わたしなりに…

一生懸命…しています」



「一生懸命髪を切った訳か?



ここで俺がーーー…

大丈夫か…って優しい声でも

掛けると思った…か?



お前今日は何しに来た?


男を誘いに来たのか?」




誘・・・う?

 

何でそんな風に言うの?




一之瀬さんもそんな目で・・・

わたしを見ていたの?



「その表情じゃわかってないな」


「わたし何か

失礼なことしましたか?」


「人に聞くしか分かんないのか?

自分の脳ミソで考えてみろ!」


怒りで…壁をガツンと…殴る。



「もうーーーーいいです


これ…お返しします!」




「待て 若菜!!」



ネックレスと…イヤリングを外し

…無理やり手渡すと…



振り返ることもなく

わたしはエレベーターに

飛び乗っていた。







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