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シュールな関係

第20章 現実の世界って…

「あれ・・・ 家の鍵も

財布…保険証も

入っているのに いいのかぁ?」



大和の悪戯っぽい眼差しと…

わたしを…おちょくる話し方




ほんとムカつく!!



「ふん いいもん」



わたしの歩くペースに合わせ…

ゆっくり車が動いてはーーー…

停車する…。



プップーー  ブーブー

ファァァーーーーン 

プー!!


後ろの車が煽り立てるよに

クラックションを鳴らし…

連鎖して通りに響く…




「ほら… 見てみろ!

お前が直ぐに乗らないから



ノロノロ運転で…

みんなに迷惑かけてるぞ」



ちょっとした…渋滞に…

なって来ている



「ほらっ 早く乗れよ

お前が乗るまで俺は動かないぞ」



「わかったわよっ


乗ればいいんでしょ?



そのかわり…



わたしに

一言も話しかけないでよ!!」



道路の真ん中で車を止めると

……ドアを開けながら

面倒な女も俺好きかも…と呟き


…目を細める…。






「奈緒 身体…冷えてるだろ?

頬が赤くなってるぞ…



ほら…これでも着とけ」


暖房を強めると…


ハンドルを握ったまま

着ているジャケットを脱ぎ

わたしに…手渡す。



「・・・・アリガトウ」



本当は寒くて仕方がない


ガチガチ震えてるの…

バレてるかな?



聞こえないくらいの小声で

お礼を述べ…




出来るだけ会話をしない様に…

目も合わさない様に黙って

車の外の景色を眺める。




大和の脱ぎたてのジャケットを

肩に羽織ると大和の香水の香りと

温かさが…伝わる…。



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