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紳士協定布いてます

第19章 憧れの残像

 ホールの真ん中で聡と紗季が仲睦まじげにダンスを踊っている。

 遥暉が控室でどんな話をしたのか知らないが、ドアが開き遥暉が出てきた時、紗季に「素直な気持ちを伝えてください」とだけ言って三人はホールに降りてきた。


 ほどなくホールに戻ってきた聡は笑顔で紗季をエスコートしている。凛々しく自信たっぷりのいつものお殿様だ。



上出は忙しく連れまわされている遥暉を横目にビュッフェでフルーツを摘み外へ出る。


「サボるなら誘ってくれよな」

「あぁ?おれは藤蔭生みたいに踊れないからな、役立たずなんだよ」


後ろから声を掛けられチラリと圭一を確認して答える。


「そっか?おば様たちに囲まれてたじゃん?」

「・・・・・おかげで香水臭くなった」


圭一が自分の袖口の匂いをクンと嗅ぐ。


「ホントだ・・・」


ノンビリ夜景を見ている上出を見て圭一が呟いた。


「ーーお前・・・余裕だな」


圭一が感心したように言うと、上出が眉間に皺を刻む。


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