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紳士協定布いてます

第35章 守りたいもの

伊藤が運転席でアレコレ思い考えていることなど、思いもしないであろう由美は遥暉に話しかけている。


「上出君なんて置いてきぼりにされて、リビングでずぅーと黄昏ていたのよ。
ハルちゃんが元気になったら、一緒に行けばいいじゃない?
それなのに大きな図体していつまでも拗ねて、鬱とうしかったのよ」


 上出の元気がない様子を“拗ねている”とか”鬱とうしい”と言ってしまう由美の豪傑にさすがに遥暉も伊藤も苦笑が漏れる。


当の上出は美しい幼馴染からの塩対応には慣れているようで、

「由美は、ホント容赦ないよ」


ヤレヤレと息を吐き


「慌てなくてもいいぞ」


と遥暉の小さな頭を撫でた。



「そうですね。できるだけ早く戻りますから」


気怠そうだが上機嫌にクスクスと喉を鳴らし笑った。


―――この二人が今の遥暉様を支えておいでなのだな。

由美様が上出君と同級生だから、遥暉様と上出君とは強いつながりを持てるだろう。

三人でいることはかけ違いを修正することも可能だが・・・・・。


伊藤は仲の良い3人の関係が、将来続けばよいと願うばかりだ。
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