デュラララ!! 短編集☆
第2章 桜と君の泣き顔
『お願いです、助けて下さい...!』
悲痛な声で君がそう言ったのは桜が満開になったころ。その桜と君の泣き顔がなぜか絵になっていて滑稽だった。
「なんでそんなに泣いてるの?そんなに彼氏に捨てられたのが悲しかった?」
すると彼女は泣きやんで唖然とする。
なんで知ってるの?って言いたいんだよね。でもさぁ、知ってるに決まってるじゃん。こっちは情報で食ってんだから。
「かわいそうだね。愛してたんだね、あの男を。」
彼女の頭にポンと手を置くと、再び涙が溢れてきた。
...そんなに愛してたの?あの男、他に何人も女つくって貢がせてただけで、君もその1人なのに。
バカだねぇ、君も。
彼氏も。
上手くやってたよ、彼氏は。
誰にも気づかれないように。スケジュールばっちり組んでたし。デートも先々、気をつかって。
別の彼女に鉢合わせないように。
「俺は何もしてやれないよ」
本当は別の女から仕事の依頼を受けたんだ。そしたら芋づる式で十数人の女が出てきて、その中に彼女がいた。
「けどさ、1個だけ。君を楽にしてあげられる方法がある。」
「....? ...なんですか、その方法って」
興味持っちゃったんだ。 君に。
「俺と付き合いなよ」
彼女を包む空間の時が止まる。
あはは、また涙がやんだよ。忙しい人だね。 聞こえてるのか聞こえてないのか、彼女はただ俺を見てくるだけで。
「聞こえた?」
そう、顔を近づけるとハッとして慌てる。ついでに言うと顔は真っ赤。何か言えばいいのに口はアワアワして...
そんなに慌てなくても。
「落ち着きなよ。君はたった一言、言うだけで良い。」
そうだよ。君はそれだけ言えばいい。
「はい。ってね」
その為に
俺の元に君が来るように
準備したんだからさ
end.