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表裏、一体。

第3章 恋人。

「いやあー!いい映画だったね!俺もちょっと泣いちゃったよー。友情って本当にいいね!」

映画館を出た瞬間、
伸びをしながら白内君が吐いた、



嘘。




束の間、私が訝しんでいたら、

「えみちゃん…?ごめん、面白くなかった…?」

なんて、少し屈みながら顔を覗き込まれた。
心底、心配そうな、顔で。

「あ、ううん、すごい面白かったよ!私も感動して…まだ余韻が…」

「よかったぁー…。そうだ!あのカモイがナチを助けるシーンでさ…」





なんか、

よくわからない人だな、

この人。

いや、

違う、





わかりすぎる。





こんな普通のデートを繰り返しながら、少しずつ、少しずつ、白内君にはまっていく自分が信じられないまま、

いつの間にか、


本当に、



いつの間にか、





抜け出せないところまできてしまった。

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