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表裏、一体。

第4章 友達。

休み時間、私はいつも一人きりで本を読む、ふりをする。耳には、何も流れていないイヤホンをつけて。
防御策。
だけど、ああまただ、近付いてくる。
邪魔しないで。


「えみー、ちょっといい?」

無遠慮にイヤホンを耳から引き抜かれる。
ため息をやっとの思いで飲み込みながら、

「わあ!びっくりしたぁ!友花どうしたのー?」

大袈裟に驚いてみる。
だけど、この人は、そんなの意に介さないご様子で、

「ちょっとさぁー、聞いてよ!最悪なんだよ、あいつさぁ、マジふざけてて……」

また、始まった。
この人の口からは、他人の悪口しか吐けないように出来ているのかもしれない。なら、しょうがない。
ほぼ、頷いているだけでいい。たまに、相手の言った言葉を繰り返してみたり、して。この場合、肯定も否定も必要とされていないから。
ただ、聞いてやるだけで、

「はぁー、スッキリした!えみって優しいから大好き!えみが親友でよかったぁー♪」






シ ン ユ ウ 、ね。

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