あなたに会うために、
第1章 序章
はあ、はあ、
走り過ぎて胸が、喉が、
やけつくように痛い。
だけど、走ることをやめることは出来ない。
変わり果てた村の森を走って行くと、
急に開けたところに出た。
………っ!
そこは彼女とよく来ていた湖だった。
焼き尽くされ、傷つけられた森の被害も、
ここまでは及んでいなかった。
大きな満月の月明かりに照らされ、
湖のほとりに座る彼女の姿が見えた。
長い髪が月明かりに照らされて輝き、
この世のものとは思えないほどの美しさで
彼女はこちらに背を向けて座っていた。
「…リーシャ………!」
ようやく彼女の名前を叫ぶと、
彼女はゆっくり、ゆっくりと振り返り、
「かなめ、おかえりなさい。」
そういうと、とても優しく微笑んだ。