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ただいま。

第1章 余命宣告

食事を済ませて、片付けをするときには新が殆どやってくれた。
逆に私が手伝う感じになっていたくらい。
むしろ、寝てろって言われたんだけどね・・。
でも、さすがにそれはできないし。

「ねぇ、新。」
「ん?」
「ベッドで待ってる。」
「つらいか?」
「うん、大丈夫。ちょっとだけだから」
「・・そうか。終わったらそっちにいくよ。」
「うん、待ってるね」


辛くなってきたのでベッドに入ると、すぐに着替えた。

「カーディガンどこだっけ・・」

肌寒さを感じてカーディガンを探す。

「ない・・どこだっけ・・?」

記憶がない。どこにしまったっけ。
ああよくこれあるんだよね・・無意識動作の末路ってやつだ。
小さいころからこれよくやってたからなれたけども。
新はこれがあると、ヤレヤレと言った感じで探してくれる。

「どうした?」
「カーディガン、探してるの」
「またか」
「えへへ」

新が自分の着ていたカーディガンを脱いで私に羽織らせてくれた。

「見つけるまでそれで我慢して」
「これがいい」
「それじゃ俺が困るよ」
「私の見つけたらそれ着たらいいよ」

くふふ、と笑うとまったく、と言って新は笑ってくれた。

「あ、あった。」

新は私のカーディガンを羽織ってからちょっとまってねと言ってから棚のところで、ティファールで沸かしたお湯を使ってココアを作ってくれた。

「ココアー!」
「ここあー。」

新は私のテンションにいつだって合わせてくれる。

「それで?話って?」

ココアを手渡してくれたあとで、やっとそこで思い出す。

そうだ、話さなきゃいけなかったんだっけ。

「あのね・・・?」

重たい唇を懸命に動かす。
言葉を搾り出すのにも必死になる。
喉の奥がきゅうっと絞まって、なんだか目の奥が熱くなるのを感じる。

泣いたらダメ。
泣いたって何も伝わらない。

新に、知ってもらわなきゃ。

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