檻の中の女
第6章 信頼
「そうだったの…。」
「私、私ね…
桜が止めてくれるまでは、
お父さんとお母さんに会いたい一心だった……。
もう死ぬしかないって、そう思ってた…。」
私は、詩織の手を握り、
ゆっくりと話した。
「詩織、あの時、あなたを止めて
本当にそれがあなたのためになったのか、
正直私には今でも分からない…。
本当にごめんなさい…。
でも、あなたとこうして一緒にいられて、
私はとっても嬉しい。
生まれてからずっとここで生きてきて、
あなたの辛さなんてきっと逆立ちしても分からない。
だけど…だけどこんな私でもいいなら、
これから先、あなたが幸せになれるように、
私はいっつも詩織を大切に思うよ!
お父さんとお母さんが、
あなたを大切にしていたように…。」