病み✕つき
第5章 関係
「江藤いる?」
「らいむー!天野君呼んでるよー!」
今日こそシカトされてる理由を聞き出さないと
俺は6限終了のチャイムと同時に足早に江藤のいる4組の教室へ向かった。
「ちょっ、らいむ!帰るの?」
「急いでるからっ!ごめんね!」
一瞬俺と目が合ったと思ったら早急に帰る支度を済ませ、教室を去ろうとする江藤
なんなんだよ…っ!
「…江藤っ!」
パシッ
逃げるように廊下に出た江藤の腕をすかさず掴んだ。
理由すら話してくれない江藤の行動に若干苛立ちを覚え、掴んだ手にも無意識に力が入る。
「…ぃた…」
「あっ、ごめん…!」
小さくそう言って顔を歪める江藤に思わず掴んでいた手を離した。
江藤の腕は細くて、強く掴んだらすぐに壊れてしまいそうな、そんな気がした
「…何で逃げんの?」
「…」
「俺、江藤に何かした?」
「…」
「話してくれないと分かんないじゃん」
江藤は何も言わないまま、今にも泣きそうな、何かを訴えるような目で俺を見る。
なんでそんな目で見るんだよ
「…一緒に帰ろ?」
「…うん…」
ぎこちない雰囲気のままいつもの帰り道を二人で歩いた。
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