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天女

第4章 お城のなかで

「ここが私の部屋です」

和の空間だった。

落ち着くはずなのに落ち着けない。

案内のときから嫌な予感はした。
だけど
帰り道がわからない。

「あの 初対面で男の部屋に連れてくるってどうなんですか」

乙女ゲームなら冗談としてならきくが
これはどうだろう。
ちなみに私が男性の家に
あがりたいとねだった時は
断られた。

「部屋の準備がまだでして……
大丈夫ですよ 姫の部屋は早急に
用意させておきますので」

だとしても

やはり初対面で姫と呼び

立派なお城に連れてくる

なんてことはおかしい。

「あの……姫ってどういうこと
ですか」

「そうですね ここには跡取りが必要なのです」

その視線の先は
私の胸に向かっている気がしたから
思わず両腕で隠す。

皮膚にたれる水滴

「跡取りって女性の方の家柄も
関係するんじゃ?」


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