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フーセンガム

第45章 ドライブ

(櫻井side)

和也を助手席に乗せエンジンをかける。

ニ「ふぅ…あ、ボールペン。」

ボールペンを手にもち、呟く。

「え?気づいてなかったの?」
ニ「うん。」

気づいてなかったのか…。

なんか、悲しいな。

ニ「このボールペンさ、翔がくれたよね。」
「お、覚えてたの?」
ニ「もちろん。」

微笑む和也。

なおさら、悲しいよ。

ニ「今は、このボールペンがなくても毎日翔でいっぱいだからね♪」

可愛く、恥ずかしそうに笑った。

「ほんと?」
ニ「ほんと♪」
「くふふ、ありがと」
ニ「どういたしまして。」

和也は、なぜか妖しく笑った。

「なんでニヤニヤしてんの?」

ちょっと怖かったけど、聞いてみた。

ニ「ん?翔ってこんなにバカだったっけなぁって思って」
「バカ?」
ニ「うん。バカだよ」
「バカじゃないし。」
ニ「バカだよ。」
「だから、バカじゃ…」

言いかけると、左頬にちゅっと音が響いた。

ニ「バカな翔ちゃん♪」
「バ、バカじゃないし…。翔ちゃんって呼ばないでよ!」
ニ「翔ちゃん♪」

もう…どうして和也のペースに巻き込まれるんだろう…。

出逢った頃も、こんな感じだったな。

去年の出来事が、昨日のことのようによみがえってきた。

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