テキストサイズ

衝動

第2章 〜濃く深く〜

「ちゅ…ちゅっ…」

『っ…ん…』

止まらない。

衝動が抑えられず、激しくキスをする。

「…かぷ……」

彼の唇を甘噛みする。

私は、甘噛みすることが好きだった。

『…っ…ぁ…』

彼のこの声がたまらなく愛おしい。

「ん…っ…ちゅ…」

彼の唇を舐め、咥えるようにキスをする。

『…っ…んっ』

彼は私の中に舌をいれ、私の舌と絡めた。

「…ぁ…う…」

その気持ち良さに、もう私の衝動は抑えられなくなった。

「…んっ…んっ…」

彼の唾液を吸う。

座っている彼を壁に押し付けるようにして、激しく吸った。

『…っ…ふ…』

彼はされるがまま、気持ち良さそうに目を細めた。

「…………」

私は、透明な糸を垂らしながら彼から離れ、彼の目を見つめた。

『…っ…はぁ…はぁ』

苦しそうに喘息する彼を見つめ続けた。

『………もう…お終い?』

その訊き方は、本当に苦手だ。

でも、こうなってしまえば理性など捨てたも同然だった。

思い切って言ってみる。

「……欲しがっているのは…そっちではないのですか…?」

蔑むような目を彼に向け尋ねた。

『………っ』

彼は少し驚いた顔をした後、目をそらした。

私はそのまま見つめ続けた。

すると、彼はこちらを向いた。

「……っ…!?」

そのまま床に押し倒された私は、突然の出来事に戸惑った。

「………したいならすれば良いではないですか」

なんとなく悔しかった私は、そう強がった。

『…………どこまで…?』

そんなこと私が訊きたいくらいだった。

「…したいだけ……してください」

さっきまでは私からあんなにしていたのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。

したい衝動から、されたい衝動に変わる。

それも本能なのだろうか。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ