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溺愛禁止。

第15章 彼の音

「覚えてるよ…俺は…。」




そんな風に見つめないで…


胸が苦しくなるから…。





「わかった…わかったから。

計ればいいんでしょ?」




その綺麗な瞳から逃れるように
体温計を挟めた。




ピピピ ピピピ


おそるおそる体温計を抜くと37.8という数字が表示されている。


蓮君には見せまいという抵抗もむなしく簡単にそれは奪われた。



体温を見て


はあ---、と盛大に溜め息をつく蓮君。




「寝室片付けてくるからちょっと待ってろ」


そう言って床を掃除してくれた。



それからまた私をヒョイ、と持ち上げて
ベッドに優しく下ろしてくれた。



「あ、俺のマフラー」



ベッドの上の自分のマフラーに気付いた蓮君。



「あ、ごめんね?寒かったでしょう?」



返そうと手にすると



うっ…


濡れてる…。




「どした?」



まさか、涙で濡れてるなんて言えない。



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