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蓮君は私を宥めるように両肩に手を乗せた。



「だけど…どんなに忘れようと思っても
忘れられなかった…。


忘れなきゃって思えば思う程、もっともっと好きになって苦しくなっていったんだ…。


恋実がバイト辞めてからは本当、俺笑えなくて
周りからはしっかりしろ、って何度言われたことか…



だけど、月子や兄貴が言ったんだ。


何で諦める必要があるんだ？


奪う根性も無いのかって…。




それで少し気が楽になったっていうか


いい男になりたいって


単純に思ったんだよね。



その第一歩がここでの一人暮らしだったんだけど


まさかこんなにすぐに
欲しい物が手に入るとは思わなかった…」




彼の瞳が泣きそうになっているのは

気のせいだろうか…。




「蓮君が言ってた

どうしても、手に入れたい物って…」




私がそう言うと


蓮君は私の身体を引き寄せて


強く、強く抱き締めた。





「…そう。


恋実が欲しかった」





…蓮君…。






「ずっとずーっと

恋実が欲しかったんだ…」






もう…



そんな風に言われたら



何もかも許さなきゃいけないじゃない…。