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昨年の桜が咲く頃…


蓮君は－－－




あの部屋を出て行った…。






あの日から



蓮君には会って居ない。




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遡ること…一年前




「兄貴と月子が自分達の店を出すことになったんだ」


「えっ！凄い、やっと二人の夢が叶うんだね」


「あぁ…」



店長と月子さんは自分達の居酒屋を経営するためにずっとあの店で頑張って来たんだ…。



「それでさ……」





いつになく神妙な面持ちの蓮君に
私は背筋をピンと伸ばした。




「俺も……その店で働かないかって言われて……」



「そうなの？また、三人一緒なら怖いもの無しだね？」



私は想像しただけでウキウキしていた。





次の言葉を聞くまでは…。





「俺…」




…？




「自分の腕を磨くために……修行に出る」





－－－修行？






ピンと来なかったけれど





蓮君と離れ離れになってしまうのかなって……



そんな不安だけが一気に押し寄せた。